こころオフィス・盛田~うつ病,双極性障害のカウンセリング

不安や恐怖がつきまとうような感覚が不安障害の特徴といえますが,深層心理学的には心の中の大切にしたい何かが脅かされているということになります。不安や恐怖は苦しいですが,ひもといていくとあなたが大切にしたいものを見つけられることが多いです。

例えば,不安や恐怖の対象が,病気や事故などの命に関わるものである場合は,あなたが命のエネルギーをどう使っていくのかがテーマになっている可能性があります。何のために生きるのかという実感や,生きがいを感じられる何かを見つけられると,不安や恐怖は薄れていったりします。不安や恐怖という症状が,より心の深くにあるテーマの自覚を促していることは珍しくありません。

不安や恐怖を避けようとするのは,前回書いたように自然な反応ではありますが,本質的には安全安心を求めての反応といえます。前述の例であれば,本質的には生きることの安全安心を求めているのですが,それが何かに妨げられ思うように生きられない悲しみやつらさが不安や恐怖という症状で表現されているわけです。その症状の意味をひもとくのが,深層心理学的なアプローチです。

不安や恐怖と向き合って,あなたが本当に大切にしたい何かを見つけるためには,ひとりではなかなか難しいので,専門家のカウンセリング/心理療法が必要になります。それを通して,症状の意味をひもとき,本来の自分を取り戻すことが可能になるのです。
前回書いたように,不安や恐怖は自分を守るための自然な反応です。ただ,心のバランスを崩してしまうと,不安や恐怖が襲ってくるような感じで,日常生活に支障をきたしてしまいます。その心のバランスをとるのが,カウンセリング/心理療法となります。

不安や恐怖が大きくなっていると安全安心が脅かされるため,それを避けようとするのも自然な反応です。「社会不安障害」や「パニック障害」などは,そのような場面を避けようとします。「強迫性障害」も不安が大きな要因ですが,不安を避ける形で安全安心を何とか得ようとする行為が症状となっています。このような意味で,症状が出ている時は逃走反応が出ている状態といえます。

ここで「逃走反応」と書いたのは,危険に対する動物的な反応のことで,自律神経系の乱れを表しています。不安や恐怖に対しての症状は,強い緊張状態といえますが,自律神経系では交感神経の亢進となり,それが極端になるのが「過呼吸」や「パニック発作」と呼ばれる症状です。これらの発作的な症状がない時にも,交感神経の優位が続き,副交感神経がうまく働かなくなっています。

この発作的な症状に対しては,抗不安薬などが処方されますが,不安や恐怖に対する感受性を麻痺させるような形で働くと思われます。カウンセリングでは,自律訓練法や呼吸法を身につけて,副交感神経の働きを改善して交感神経を抑制する方向を目指します。
何らかの強い不安によって,日常生活に支障をきたすものを総称して「不安障害」と呼びます。その中には,人に対する不安が中心にある「社会不安障害」や,場面や状況に対する不安が中心にある「パニック障害」が含まれており,症状は多岐にわたります。

「不安障害」の中には,「広場恐怖症」といった形で「恐怖」という用語も含まれますが,「恐怖」は対象が概ね特定できるものを指します。一般的に,高所恐怖症とよく言われますが,高い場所という特定できるものに不安の対象が決まっているので「恐怖」と呼びます。それに対して,特定できない漠然としたものに対する強い心配を「不安」と呼んでいて,基本的に区別されています。

不安障害のカウンセリングで最初にお伝えするのは,「不安」や「恐怖」は命を守るために本能的に備わっているものだということです。心のバランスがとれなくなって,不安や恐怖を感じる感度が上がっている状態です。高所恐怖症を挙げましたが,これは診断名には入っていません。高いところから落ちたら命に危険が及ぶので,そういう状況に恐怖を感じるのは自然な反応だからです。

うつ病と不安障害が併発することも知られていますが,どちらも神経伝達物質のセロトニンの関与が指摘されているので,うつ病の悪化で不安障害の症状が出てきたり,その逆も起こりやすいと考えられます。いずれにしても,早めのカウンセリングが有効です。