こころオフィス・盛田~うつ病,双極性障害のカウンセリング

うつ病には不眠症が伴うことがとても多く,不眠症のケアは重要な要素なのですが,意外に無頓着な方が多いと感じています。睡眠環境や生活習慣を見直してみることも,不眠症のケアには有効ですので,今回はそのあたりのことについて書きたいと思います。

まず,睡眠時間ですが,何時間くらい眠ればいいのかと聞かれることも結構あります。しかし,それには個人差が結構あって一概には言えないことと,睡眠の質が悪いと何時間寝ても足りない感じになります。睡眠の質は,目覚めたときの熟睡感やスッキリした感じなどの感覚的なものが指標になります。枕が合っているかや寝具の心地よさも影響しますので,相談してみることも大切です。

自律神経の交感神経が刺激されると,入眠困難につながりますので,就寝前の1~2時間ぐらいは食事や入浴まで済ませて,リラックスして過ごすようにしましょう。視覚的な刺激や強い光も交感神経を刺激するので,パソコンやスマホなどは控えることをお勧めします。部屋の照明は抑えて,できれば間接照明にして,軽いストレッチをしたり,日中の体の緊張やコリをほぐすようにします。

眠れないというのでよく話を聴くと,就寝する直前までパソコンで仕事など神経を使う作業をしているという人も結構おられます。睡眠を無駄な時間と感じている場合も不眠症につながります。眠る心地よさを味わうような感覚をもつのが,改善のポイントです。
前回までは不眠症について書きましたが,概日リズム睡眠障害という睡眠障害も,不眠症の中の入眠困難と関連してきます。概日リズム睡眠障害というのは,24時間の周期的な睡眠リズムが崩れていくことで,入眠困難が生じたり,昼夜逆転になったりします。

概日リズム睡眠障害は,基本的に睡眠リズムが後の方にズレていくため,起きる時間が遅くなっていき,朝起きれないために遅刻を繰り返したり,頑張って起きても体が思うように動かないとか頭がボーッとするなどして,子どもの場合は不登校につながっていくことが多くあります。入眠困難によって睡眠不足が続くことで悪循環につながり,うつ病のリスク要因にもなってしまうのです。

睡眠リズムは25時間程度と言われ,目から朝日の刺激が入ることでリセットされて,24時間周期が保たれると言われています。このため,医療機関では光療法という強制的に光を浴びせる治療法があります。それほど重度でなければ,寝る前にブルーライトを目に入れないようにして,朝起きたらカーテンを開けて外の光を浴びたり,外を少し散歩したりすることで,改善が見込めます。

昼夜逆転までズレてしまったなら,元に戻そうとするよりはズレる方向にあと半周させる方が体の自然には合っています。時差ボケに対処する要領で,頑張って眠らずに日中を過ごし,夜になってから寝る方が合わせやすいと思いますので,試してみてください。
不眠症の主な症状である,入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒について,前回は入眠困難について書きましたが,今回は中途覚醒・早朝覚醒について書きたいと思います。これらは,うつ病になると増化する傾向にあり,入眠困難から移行したり加わったりします。

中途覚醒と早朝覚醒は,基本的には類似していますが,中途覚醒は本人は覚えていないこともありますが悪夢などで目覚めることが多く,仕事や人間関係等のストレスが関与していると考えられます。早朝覚醒は,仕事などに出かけることに関する不安や緊張が大きな要因と考えられ,過眠の傾向で寝過ごした経験の裏返しの場合もあります。いずれも,経緯や日中の様子が参考になります。

不眠症のタイプと,要因としてどのようなところが中心となっているかは,カウンセリングを進める上でのヒントになります。うつ病の症状として精神活動が乏しくなるため,漫然と傾聴や共感をするだけでは話題があまり展開せず,悪循環からの打開点を見つけるのが難しいことが多いです。不眠のつらさを受けとめながら,ポイントを絞った具体的な質問をしていくことも必要と言えます。

その他,睡眠障害の領域になると基本的には医療での治療が中心になると考えられますが,過眠傾向による概日リズム睡眠障害などについては,不登校やひきこもりなど,社会適応上の問題につながるケースが多いので,私見を含めもう少し書きたいと思います。
眠っている間に,脳内では日中の様々な情報を整理しているとも言われ,良質な睡眠はストレスを軽減する効果も高いと考えられます。眠れないというのは本当につらく,それだけで大きなストレスになりますし,精神症状の改善を妨げ悪化のリスクを高めます。

前回書いた,入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒の中で,入眠困難は寝つきが悪いという軽度を含めると,多くの方が経験していると思います。僕も経験することが時々ありますが,日中のストレスが残っていると,その出来事に関することが頭の中でグルグル回ってしまい,興奮や緊張が高まり自律神経が交感神経優位になります。こうなると,眠れる状態になかなか体が向かっていきません。

強いストレスがかかったり,ストレスの蓄積が解消されていないとこういう状態になりやすいので,眠りやすくなるためには,自律神経を副交感神経優位に向けることが重要です。食事や入浴,交感神経を刺激しないような生活習慣の見直しも大切ですが,カウンセリングとしては,自律訓練法という技法を用いて自律神経のバランスを整え,リラクセーションを兼ねて身につけていきます。

また,なかなか眠れないと感じることで不安が高まり,眠らなければと焦ることが悪循環を引き起こします。交感神経が優位になっていることで,不安や焦りを喚起しますので,この悪循環を予防するためにも,自律訓練法やリラクセーションは有効と言えます。
うつ病になると,多くの場合に不眠が表れてきます。逆に,睡眠障害によって睡眠不足等が重なることで,うつ病になるリスクが高まります。睡眠の量と質のバランスがとれていることは,精神的な健康を保つ上でもうつ病のカウンセリングでも重要になります。

「睡眠障害」という場合は,睡眠時無呼吸症候群やレストレッグス症候群(むずむず脚症候群),身体疾患や薬物療法の影響などが考えられますので,睡眠外来などで医学的な治療を受ける方が適切な場合があります。カウンセリングの場合は,自律訓練法などのリラクセーションを自分でできるようにしたり,傾聴・共感によるストレスの軽減やストレスの受け流し方の助言等が中心です。

うつ病で生じる不眠症は大きく分けて,入眠困難,中途覚醒,早朝覚醒に分けられます。入眠困難は,寝つきが悪くなかなか眠りにつけない症状で,中途覚醒は,深夜に目が覚めてしまいその後は眠れなくなる症状,早朝覚醒は,起きるべき時間より大幅に早く目が覚めてしまう症状です。また,入眠困難では,概日リズム睡眠障害という昼夜逆転状態が影響している可能性も考えられます。

不眠症/睡眠障害になる要因は様々で,快適な睡眠のための生活習慣や環境をチェックして,改善することもカウンセリングの中で必要になります。夢を覚えていればその内容や,覚えていない場合は感覚だけでも,ストレスの方向性を見立てる参考になります。