こころオフィス・盛田~うつ病,双極性障害のカウンセリング

セカンド・オピニオン

臨床心理士として長年,カウンセリング/心理療法の実践を続けてきて感じるのは,他の機関でカウンセリング/心理療法を受けた内容や対応について,不満や苦情を寄せる方が多いことでした。お話を聴いていくと,信じられないような言葉を突きつけられたり,感情をあらわにして説教をされ続けたりといった,およそ専門家の対応とは思えないような話も,想像以上に耳にするようになりました。そして,その内容や対応についての見解を求められることも増えてきました。また,他機関でカウンセリング/心理療法を受けていても,なかなかしっくりこない感想を持たれて,別のアプローチを模索して来談される方もいらっしゃいます。これは,主に医療分野で活用されることが増えてきた「セカンド・オピニオン」に当たるものです。

これは,心理ブームでカウンセラー/セラピストの民間資格が乱立して,充分な教育やトレーニングを受けないままに自分を省みるアウェアネスを高めることなく実践に入ってしまうカウンセラー/セラピストが増えてきたことがひとつの大きな要因だと思います。もちろん,臨床心理士になる教育やトレーニングが完璧だとは思いませんし,数日間程度の研修で取得できるインスタントな資格をもつ人の中にも,能力や人格に優れたカウンセラー/セラピストがいることもあります。僕も,別に最高の能力をもっているとか素晴らしい人格者というわけではありませんが,常に向上し成長することを心がけています。自分を省みて向上し成長しようとする姿勢こそが,専門家の資質ではないかと思います。

とはいえ,「セカンド・オピニオン」が求められるのは,カウンセリング/心理療法が一般的に普及してきたことの表れでもあります。そして,その質が問われる時期に入ってきたとも言えます。医学でも,比較的歴史の浅い精神医学や発達障害の分野では,同じ患者さんで担当医によって診断が異なることも少なくありません。精神医学と同時期から発展したカウンセリング/心理療法に正解を求めるということも難しく,依拠する理論や技法の数だけ見立ては異なってきます。最終的には,来談される方が納得できたり,腑に落ちるような実感を得られるということを手がかりにするのが大切だと思います。また,そのアプローチが肌に合うかということも重要な要素ですし,担当者との価値観の違いや人格的な相性なども関係してきます。

当然ですが,過去や現在の担当者を支持することもありますし,異なる見解をお伝えすることもあります。異なる見解だとしても,どちらがよりしっくりくるかは,あなた自身が腑に落ちるかどうかを手がかりに判断されるのがよいと思います。すぐに判断がつかないようなら,僕の見立てから提供するアプローチをしばらく体験してみるのもいいでしょう。それが肌に合うかどうかも,ご自身の五感を敏感に働かせて感じとってください。その上で,僕を新しい担当者に選ばれても,過去や現在の担当者に戻られても結構です。ただし,同じ期間に複数の担当者に並行して受けることは混乱の元になりやすく推奨されていませんので,あまり長期間にわたって複数の担当者に受けることは避けてください。

現在,カウンセリング/心理療法を受ける担当者がいるなら,事前にできれるだけ「セカンド・オピニオン」を受けることを相談してください。勇気がいることかもしれませんが,それがあなたの違和感について一緒に考え軌道修正をするきっかけになり得ますし,担当するカウンセラー/セラピストの心の器をはかることもできます。また,あなたが次々に違和感を感じて担当者を変えたくなるような場合には,あなた自身の心の器を広げることを中心にして,一人の担当者を決めて継続していき信頼関係を築くことがテーマになるかもしれません。そういった場合,他の対人関係でも似たようなパターンが表れていることが多いので,それもアプローチしていく方向性のヒントになります。

なお,医師の診断や薬物療法の方針については,医師の領域ですので臨床心理士が立ち入ることはできません。ただ,診断や薬物療法についての不安,医師との関係性についての心の動きなどに対して,心理的にサポートを行うことは可能です。また,短い診察時間で伝えきれないあなたの歴史や症状の推移などは,よくお話を聴いた上で,医師にどのように伝えたらより適切な診断や薬物療法を受けられるかは心得ていますので,そのことについて助言することはできます。薬を減らしていきたいといったご希望についても,あなたの症状の推移などについて詳しく伺った上で,それをどのように主治医に伝えていくのがよいかをご相談いただければと思います。

主治医がいる場合には,あなたが主治医とより良い関係を保ちながら,可能な限り僕としてもその治療方針を共有し,三者が協力しながらより有効にカウンセリング/心理療法を提供できるように進めていきたいと考えています。その他,医療以外の領域であったり,主治医と産業医が二重に関係するといったもう少し複雑なケースについても,できる限りお力になれるように心理的にサポートをさせていただければと思いますので,お気軽にご相談ください。