こころオフィス・盛田~うつ病,双極性障害のカウンセリング

なぜ,カウンセリングなのか


うつ病や双極性障害などの精神症状をはじめ,心身の様々な症状がありますが,症状で苦しい想いをしているときに,医療機関は症状を緩和するために大切な役割を果たします。症状に苦しんでいるのに,ゆっくり話を聴いてもらうどころではない場合もあります。この症状さえなくなれば,と思うのも自然な気持ちです。では,なぜカウンセリングが必要なのでしょう?

症状に至るまでの「心の状態」が必ずあります。精神症状だけではなく,原因がよくわからない痛みなど身体の症状も,心身症などに代表される心の状態の反映であることが多くあります。この「心の状態」というのは,何らかの形で「心のバランスが崩れている状態」と言えます。心のバランスが崩れているままだと,心の自然治癒力の働きが弱まってしまいます。

心のバランスを崩す要因は,大きなものだとトラウマのように心に傷を負った出来事,小さなものだと日頃のストレスやショックを受けるような出来事などがあります。しかし,不快なことはなかったことにしたり見ないふりをした方が,その時の自分を保つのには必要なことがあります。そういった不快なものは無意識に押し込まれて,複合的に心のバランスを崩します。

一方で,心にも自然治癒力があります。ユング心理学などでは「内なる癒し手」と表現したりしますが,大きく言うと「生きる力」ですし,もう少し平たく言うと「心の支え」という感じです。心は本来,やわらかいボールのようなもので,ストレスやショックを受けて一時的にへこんでも,しやなかに受け流して回復していく力をもっています。これが,心の自然治癒力です。

心のバランスを崩すと,ボールの中の空気が減って弾力が失われたり,ボールの表面のある面が硬くなって歪み,弾み方がおかしくなったりします。この例えで言えば,前者がうつ病,後者が双極性障害のイメージに近いと言えます。うつ病は全体に弾まなくなりますし,双極性障害は弾まなかったり思わぬ弾み方をしたりします。この「心の状態」を知るのがカウンセリングです。

カウンセリング/心理療法というのは,あなたの「心の状態」をひもといて一緒に理解していきます。「心の状態」を知ることで,心のボールの例ではどのように弾まなくなっているか,つまり,自然治癒力である「心の癒し手」がどのように力を発揮できなくなっているのかを見出していきます。そして,本来もっている自然治癒力を発揮できるようにサポートします。

症状を緩和するだけなら,お薬を処方してもらうのが適切です。ストレスを緩和するだけなら,リフレッシュ法を工夫するのが適切です。でも本質的には,症状の緩和はあなたが本来もっている自然治癒力を取り戻すための基礎になるものです。風邪は,薬が治すのではなく,症状が緩和されることで身体の自然治癒力が回復するのです。「心の風邪」とも言われるうつ病も同様です。

双極性障害(主にⅡ型)の場合は,気分の波を自分でコントロールする力が低下している状態です。「波乗り」と呼んでいますが,この気分の波の状態を自分で把握できるようになり,波の状態に応じて対応できるように練習していきます。本来的にコントロールできていたものができなくなっているので,その力を取り戻すサポート,リハビリに近い感覚でしょうか。

ストレスや症状が長く続いてしまうと,それを耐えたり回避したりするようになり,それが習慣化して心の癖のようになってしまいます。一般的な癖を直すのも,癖になっていることに気づいて意識しながら直して時間がかかるように,心の癖もそれに気づいて意識しながら直すのには時間がかかります。少し変だな,調子が悪いなと感じたら,早めの来談をお勧めします。

本質的に,心は成長する方向性をもっています。ユング心理学でいわれる「個性化の過程」は,心の成長過程とも言えます。この「個性化の過程」では,人生の大きな転機になるような出来事を経験することが多いですが,「心の状態」が崩れて見失った「本来の自分」のバランスを取り戻そうとする心の働きとして,心身の症状が成長のきっかけになることも多くあります。

この場合,「個性化の過程」が進むと,きっかけをもたらした心身の症状は必要なくなり,こじれていなければ「心の状態」への気づきが腑に落ちた瞬間から,症状が消退していくこともめずらしくありません。カウンセリング/心理療法を通して,あなたが本来の自分を取り戻し,あなたの心が成長する経験までつながるようにサポートしたいと考えています。